November 18, 2006

「ア−チ・レングス・ディスクレパンシ−(プラス)=Arch Length Discrepancy (+) 」


矯正歯科 : 鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正の Blog
カマクラデントフェイシャルオ−ソピディクス山本歯科・矯正
院長 : 矯正歯科医 : 山本一宏の ブログ 49)

歯の大きさとそれを容れるホネの大きさの違いを
ア−チ・レングス・ディスクレパンシ−といいます

「八重歯はハヤラない!」
「八重歯・叢生・crowding」
「The 叢生」
「叢生の弊害 1)」
「叢生の弊害 2)」
「叢生の弊害 3)」

でお伝えしたとおり,
歯列がでこぼこしたいわゆる八重歯系
をなぜかマイナス(-)表示します

ですからア−チ・レングス・ディスクレパンシ−
プラス(+)とは・・・
すき間だらけの歯列=空隙歯列を意味します.

空隙歯列成人女性患者さんの矯正歯科治療15年後初診時年齢歳女性 : 1984.6.2
矯正動的治療期間 : 1年5ヶ月間
下段は保定期間1年間を含め
矯正治療終了後15年経過時点時 : 2000.3.1

「歯の突出度とくちびるの厚みの関係」
で,正中離開の患者さんを紹介しましたが,
これもプラスのア−チ・レングス・ディスクレパンシ−
症例です.
真ん中=正中に大きな隙間があったにも拘わらず
この方の診断では
第一小臼歯4歯の抜歯でした

以前に鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正
サイトでも述べましたが
「先生180ccって書いてありますが?・・・」
「平気平気200cc入るから,わたしにまかせなさい」
なんてするエンピリカルなオピニオン

「うちの工務店では30坪ご購入いただけたら40坪の平屋を建ててみせます」
なんてする意見は困ったものです

きちんとしたセファロによる診断のもと
科学的根拠に基づいた
矯正歯科治療を受けてほしいものです

ここでユークリッド幾何学の問題です
ユークリッド幾何学は二次元平面といった

現実的にはほとんど存在することのない
理想的な平面で理論を展開してゆきます

「点を中心に線分を回転させてください」
「平面ができました」
「それでは線分を中心に平面を回転してください」
「立体ができました」
ここまではわれわれ3時限生物の得意とするところですが

この命題の単なる延長上にある
「平面を中心に立体を回転させてください」
「・・・」
についてはわたしたち3時限生物には
簡単にイメ−ジすることができません

"MyFavoriteThings=MFT 4)"

「大きな三日月に腰かけてハヴァナをふかせてゐるイナガキ君
本の御礼を云いたくてもゼンマイ仕掛けの蛾でもなけりゃ
君の長椅子へは高くて行かれやしない・・・(芥川龍之介)」

地球にはただネクタイを換えに
宇宙の果てからやってきた
「稲垣足穂」・・・

我が国において
「宇宙論」をはじめて認めたのは
天文学者でも理論物理学者でもなく
作家の稲垣足穂でした

復刻されて現在でも
購入可能ですが
わたしの書斎の蔵書には
初版ではその購入時に

以下のふたつの理由から
書店の店員のお姉さんが
2回も裏に引っ込んで
上司の意見を俟たねばならなかった
「人間人形時代 カフェの開く途端に月が昇った 宇宙論入門」
があります

まず本の中心に
すでにかすれて判読不能になってしまいましたが
確か購入時点では夢の世界が覘けるとした
ちいさな金字での著者の但し書きのもと
穴が貫通しています

1975年出版で定価は1975円

ここで足穂はリ−マンやロバチェフスキ−といった
非ユ−クリッド幾何学の理論を駆使して
4次元世界での生活を説明しています

譬ば「箱を開けずに中身を取り出すことができる」
「左手から外した手袋をひっくり返すことなく右手にはめることができる」
など・・・

三島由紀夫が押し切って
第一回読売文学賞を受賞させた
「少年愛の美学」
がなければ
知名度はもっと低かったでしょうか・・・

戦後佐藤春夫宅に
食客として滞在していた
「天体嗜好症」を自任する
この人の父親も祖父も
大正昭和初期における
ハイカラな歯科医でした

夕空になびく自国の旗の
三日月が本物のそれと比べ
見劣りがすることから
すべてをすてて
砂漠をどこまでも追いかけてゆく
王の飽くなき探求心を表した
「黄漠奇聞」
物語の終盤に登場するダンセイニ伯爵は
われらが荒俣こりゃまた先生が
いまだ無名の頃に翻訳した名作
「ペガーナの神々」の作者です



異空間に紛れ込むようにして
神戸トアロード界隈で見つけた
「星を売る店」など
荒廃した戦後の日本で誕生したとは思えないような
珠玉のファンタジーの数々
もし読んだことがないひとがいたら
大きな損失だと思います



また足穂の奥さん稲垣 志代さんによる
「夫 稲垣足穂」
あいびきのあと
春風の中を後ろ姿で消えてゆく
足穂の足下には
片方に男物の
もう片方に女物の下駄
ほほ笑ましい作家の日常の一面を垣間みせます



1977年死への床で工作舎マツオカセイゴウ氏に
「全集頼むぞ・・・」
と宣ったそうだが
全集の刊行はだいぶ遅れて・・・


Posted by dendroboim at 00:10:00 | from category: "MyFavoriteThings=MFT" | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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