October 22, 2006
「叢生の弊害 1)」
矯正歯科 : 鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正の Blog
カマクラデントフェイシャルオ−ソピディクス山本歯科・矯正
院長 : 矯正歯科認定専門医 : 山本一宏の ブログ 21)
八重歯で困ることは,
なにもくちびるが乾いて
貼り付いてしまうことばかりではありません.
「噛む機能の面から・・・」
噛み合わせは
mutually protected とよばれる,
左右側運動では上下の犬歯同士が
前後運動では4前歯が,
アゴの運動をガイドする
様式をとっております.
前歯=齧歯目=ねずみの歯=野菜用
犬歯=食肉目=おおかみの歯=肉食用
臼歯=偶蹄目=うしの歯=穀類用
片顎片側での本数の比は
2 : 1 : 4
雑食性のわたしたちヒトの食事の
バランスもこの比率がよいと言われます.
なぜミューチャリーがというと,
これらの歯群がそれぞれ得意分野を
受け持って,苦手分野を
カヴァーしあっているからなのです.
まず口を閉じると
最大面積の咬合面を持つ
臼歯郡が咬合力すべてをサポートします.
図は,トラジェクトリーとよばれる
奥歯の力線構造.噛む力が顔面の骨格を形づくっていることがわかる.
しっかりと噛めることが,よい顔立ちを創ってゆくことに
大きな影響を与えていることが理解できる(Courtesy T.M. Graber)
しかし,ほっぺたをめくってみるとわかる通り
奥歯の根を覆う歯槽骨は,
ほんの数ミリしかありません.
ギシギシと横揺れを嫌う奥歯を
とんがった犬歯どうしが
ガイドを開始することで,
すっとdisclude=ディスクルード(噛みあわなくなる)
させることができます.
また前方運動でも,
anterior guidance = アンテリア・ガイダンス
=前歯部滑走が始まると,
奥歯はすっとディスクルードし,
嫌いな横からの力から解放されます.
犬歯が八重歯となって
咬合に参加しなくなり,ガイドすることをやめてしまうと,
しかたなく両脇の歯にその役目が回ってきます.
犬歯はまたの名を眼歯といわれるくらい
目に届くほど歯根が長く,
アゴの力全体がかかってもびくともしませんが,
となりの側切歯や小臼歯がこの役目を担えば,
噛み合わせの効率は悪く,
またこれらの歯の寿命を
著しく短くしてしまうことにもなりかねません,
まさに補助エンジンでの航海.
または大黒柱の病欠から
お母さんやお姉さんが
一家を支えてゆかなければならない
状況ににています.
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