October 21, 2006

「The 叢生」


矯正歯科 : 鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正の Blog
カマクラデントフェイシャルオ−ソピディクス山本歯科・矯正
院長 : 矯正歯科認定専門医 : 山本一宏の ブログ 20)

19歳女性の叢生の矯正歯科治療前後の歯列の変化
矯正歯科動的治療開始時19歳女性.
上アゴは外からみえない
舌側に矯正装置をつける
リンガル・アプライアンス
下アゴは表側の
目立たないセラミックの矯正装置で治療した.
治療期間は1年11ヵ月.


「くさむらはえる」ーーーと書いて叢生.

現代の歯科学界でつかわれている
学術用語のほとんどは
野口英世によるものが多いようです.

聞いた話で信憑性の程は定かでないのですが
野口英世は研究者としてデビュー
する前は東京歯科大学の前身だった
東京歯科医学専門学校で
用務員をしていたそうです.

麗らかな日の正午
チャイムもなかった当時の
校舎の運動場に面した
用務員室の前で
鈴を振って授業の修了を
知らせていた彼の姿が目に浮かびます.

あまりに頭が良かったものですから,
当時の学長であった血脇守之助が
アメリカに留学させようと思って
当時のお金で50万円を用意して
渡したところ,
銀座に行って
その日のうちに全額飲んでしまって,
もういちど渡航費用を工面しなくてはならなかったそうです.

実話だとしたら,
伝記等には見当たらないエピソードです.
閑話休題.

叢生だと上顎では八重歯ができやすく,
下顎では前から数えて5番目が倒れやすいのは
歯の生えそろってゆく順番に理由があることは
以前 Blog で述べました.

10人の矯正歯科医がいれば
10通りの矯正歯科治療法があると云われるように,
代表的なものだけをピックアップしてみても,
エッジワイズ法,その中にもBio-progressive・Vari-simplex-dicipline
Level-anchorage・Damon-system・Meawなど
池坊や小笠原流といった生け花流派にも
勝るとも劣らないさまざまな方法があります.

現在ではいまだ
日本でも,またアメリカにおいても
学会の趨勢は抜歯にあります.

たしかに診断によっては
抜歯をせずに矯正治療をおこなうことがわたしにもありますが,
アゴか退化し,
遺伝子にとっては青天の霹靂とでも言えるこの飽食の時代から
歯のサイズは大きくなってきているため,
その頻度は低いです.
ましてや成人矯正歯科治療では,
頻度はさらに低くなります.

非抜歯治療ですばらしい結果を出している学派もありますが,
逆に目を覆いたくなるような
歯列を拡大するだけ拡大してしまって
ああんと開くとバケツみたいに大きくなってしまって
歯が歯槽(下顎骨・下顎体にある歯を容れる骨)からあふれ出して
全部の歯がしみてきてしまったり,
歯の根が歯茎を割ってまで骨の外に出てきてしまっているもの
を見る機会も多いです.

叢生の患者さんの矯正歯科治療前後の口元の変化
うえで示した叢生を4本の第一小臼歯を抜歯して
矯正歯科治療した患者さんの治療前後の口元の変化.


治療開始時22歳叢生の女性治療開始時22歳叢生の女性の矯正歯科治療前後の歯列の変化
の矯正歯科治療前後の歯列の変化.
この症例を非抜歯で矯正したら結果はどうなるのだろう?


また「抜かずに治す」
と謳っているにも係らず
通常の小さな第一小臼歯抜歯では
となりの歯同士を平行に移動させてゆく
技術が未熟さからないために
大きな第二大臼歯を
抜歯する輩がいます.
立派な臓器である7番を
治療計画上便宜的に
抜歯することに対しわたしは反対です
(親知らずを噛み合わせに参加させるケースを除いて).

前に紹介したセファロ分析くらいは
少なくともしてから
矯正治療をはじめてもらいたいと思います.

北アメリカで誕生し,発達した
現代における包括的先進矯正歯科治療の目的は
function =機能,stability =安定性,
それからesthetics =審美性
にあります.

治療後永久的にリテーナ
(矯正装置が外れた後に歯が動かないように保定するための装置)
の使用を指示するなどは
上の条件を充たしていない事となります.

日本矯正歯科学会でも2000年の大阪大会で
非抜歯派と,抜歯はするものの数十年にわたる治療完了後資料を持つ
アメリカのふたりの矯正歯科医にディベートのような形で
講演を依頼したことがありました.
講演の座長を務められた福原昭和大学名誉教授が,
20世紀初頭の著名な矯正歯科医であるDr. Calvin S. Case の
言葉を引用して語った言葉をもって,
日本矯正歯科学会としての統一見解としたようでした.
すなわち,
"The failure to extract teeth when demanded is
quite as much malpractice as the extraction
of the teeth when not demanded.
(必要なときに抜歯しないでいるのは,
抜歯をしてはいけない症例で抜歯をするのと全く同様,
間違った治療だ.)"

レイモンド・チャンドラーではありませんが
有名な言葉に
「矯正歯科治療は
美しくなるためだけにするのではない.
しかし,美しくならないのだったら
矯正歯科治療する価値がない.」
があります.

ぜひ矯正歯科治療が,患者さん自身のためにあって,
money administration= 医院経営の犠牲にならないよう
切にお祈り申し上げます.

抜歯・非抜歯のさらに詳しい議論は鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正サイトへ!!
(矯正歯科における抜歯治療と非抜歯治療・中立の立場から・・・)
Posted by dendroboim at 00:10:00 | from category: 歯の意識革命 | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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