October 31, 2006

「健康保険でできる顎変形症の矯正歯科治療」


矯正歯科 : 鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正の Blog
カマクラデントフェイシャルオ−ソピディクス山本歯科・矯正
院長 : 矯正歯科医 : 山本一宏の ブログ 31)

「健康保険でできる顎変形症の矯正歯科治療」初診時24歳男性.
上顎前歯に叢生を伴う顎変形症.右上5,左上4抜歯後,
術前矯正治療1年5ヶ月.外科矯正手術のための入院期間約2週間.
術後矯正期間10ヶ月.通算2年8ヶ月間.

1996年から顎変形症に対する
矯正治療が保険でできるようになりました.
2006年度の改正で
咬合異常を呈する
様々な症候群も
別に厚生労働大臣が定める疾患として
健康保険で矯正歯科治療が可能となりました.

ただし条件付きで,
アゴの離断等手術を伴う
顎変形症に限られます.

唇顎口蓋裂につきましては
もう少し前から保険での治療が可能でした.
ところが,どこの医院でもできるわけではなく,

施設基準として医院自体が
以前紹介したセファロレントゲン装置
アゴの運動のコンピュータ分析装置を設備している事.
また院長と歯科衛生士の資格が問われます.

健康保険がきけばそれに越した事はありませんが,
いくら経済効果がいいからといって,
「胃潰瘍です.薬なら自費負担.手術なら7割引」
ってきいたところで
外科的処置が最後の手段である事は否めません.



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October 30, 2006

「クラス・スリー不正咬合」


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カマクラデントフェイシャルオ−ソピディクス山本歯科・矯正
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Prof. TM Graber 紹介の Mr. David の診療風景
写真は,現在 World Federation のトップ,
Prof. Tom Graber の紹介で来院した
David の診療風景.

矯正歯科の歴史は,Edward H. Angleが
1900年にセントルイスに
あらゆる大学から独立して矯正歯科の学校を
設立した時点でスタ−トしたといわれる.

「アングルの分類」

元祖矯正歯科医エドワード・アングル先生

アングルは上顎第一大臼歯をKeyToOcclusion
=咬合の鍵とし
上の手前の山が,下の中央の溝に噛みこむものを
一級と定義した.

下がひと山奥に行くと2級(下顎遠心咬合).
下がひと山手前に来ると3級(下顎近心咬合).

前歯如何に拘らずの分類なので,
例外はあるものの,
2級はほぼ出っ歯.
3級は受け口とみてほぼ間違いない.

David は Caucasian にはめずらしく
クラススリー.
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October 28, 2006

「怖〜い 矯正歯科治療」


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院長 : 矯正歯科認定専門医 : 山本一宏の ブログ 28)

「UglyDucklingStage って知ってますか?」

醜いアヒルの子の時期

日本語では「醜いアヒルの子の時期」とよばれるこの時期.
混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期)において
犬歯の歯胚(歯の芽)の位置の関係から
上の前歯の中間にすき間が生じる事をいいます.

犬歯の萌出にともなって,
前歯のすき間も自然に閉じ
美しい白鳥に生まれ変わるわけです.

この時期に無理に前歯のすき間を
閉じる事は避けなくては成りません.
なぜならば,側切歯の根が遠心に振って,
犬歯の歯胚を傷つけるといけないからです.

国家試験の山にもなっているので
昨今ではそんなことはもはや起こらないと思いますが,
数十年前にはお金を取って
わざわざ閉じていた先生もいたと聞きます.

前歯の間の事を「正中」といい,
前歯の間のすき間は「正中離開」とよばれます.

「正中離開」を矯正歯科治療によって
閉じなければならないのは
以下の場合です.

永久歯列が第一大臼歯の手前で全部完成した段階で,
1)上唇小帯(上唇をめくると見える帯のようなもの)
が歯の間を越えて上あご(口蓋)の方まで延びているもの
=整形手術後,閉鎖する.
2)正中過剰埋伏歯(前歯と前歯の間によけいな歯が埋まっている)
=抜歯後,閉鎖する.
3)異常嚥下癖(ものを飲む時適正な筋肉のバランスでしない)
=口腔周囲筋訓練後,閉鎖する.
(MFT=口腔周囲筋訓練については後日くわしく述べます)

「怖〜い 矯正歯科治療」

読売新聞は,2006年5月18日付けの医療ルネサンスで,
学会「認定医」わずか1割
として,安易に矯正治療を受けることに,警鐘を鳴らしています.
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October 26, 2006

「顎機能異常と睡眠相の関係」


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上は先月札幌でおこなわれた日韓ジョイントミ−ティングで
講演された井川雅子先生が共著した成書です.

1996年にアメリカでおこなわれた
NIHのTMD(顎関節症)に関する
Technology Assessment Conferenceで
「世界中の歯科医を驚かせた」として,
咬合因子が顎関節症をはじめとする
顎機能異常の原因とはいえないといった内容です.

現在,顎機能異常の発症・増悪させる因子として
咬合因子がリスクファクターとなりうるとはされながらも,
寄与因子は器質的のみに留まらず,
精神的,行動学的に至るまで多岐に亘るとされています.

外科系からも
「顎関節症が咬合因子のみでは発症しない
ことがあきらかになってきた」として
咬合関係と顎関節症の因果関係がもう一つはっきりしない
とした演題がありました.

外科的手法=手術
では繊細な咬合治療は不可能なため
どのレヴェルまでみているか?
といった疑問は残りますが,
医師の責任逃れや
保険会社の思惑通りに事が運んでいない事を祈るばかりです.

確かに歯並びがめちゃくちゃ
でもなんら症状を訴えない方がいらっしゃいますし,
矯正治療でぴかぴかの
歯並び・噛み合わせになったにも拘らず,
アゴの不調を訴える方がいらっしゃる事も確かです.

最近ではTCH(Teeth Contacting Habit)といった
長時間にわたって上下の歯を接している事が
顎機能異常の発症・増悪させる因子として注目されております.

しかしこういった内容は
今に始まった事ではなく.
古くは我が国の誇る九大で開発された自律訓練法
=温感訓練・重感訓練
(力を抜こうと努力するとかえって緊張してしまうため,
楽な座位あるいは横臥位で腕が重い腕が重い
・おなかが暖かいおなかが暖かい・額がすずしい額がすずしい
と心の中で唱える)をはじめ



親子2代にわたり食いしばりの研究をされており
当院にも時々お見えになる押見一先生の研究会の
長野の谷口威夫先生などは
その物を拝見はしていませんが,
何かプリクラやシールをおもわせる
ものを患者さんに渡し,
1枚は壁掛け時計に
1枚は姿見に
1枚は車のバックミラーになど
それを張って
目に入ったら
全身脱力し,唇を閉じて
歯ははなす(噛まないで上下の歯を離す)
と指導されているとききます.

われらが青木亥一郎先生も
なにかまた究極の調整法を
見いだされたという事で
次回鎌倉長兵衞への
お出ましを心待ちにしている昨今です.

気がついたら力を抜くことや歯を離すことは
おきている時は注意できますが,
就眠時には難しいものです.
(最大の自己暗示は明日の朝生きて目覚める事とする
押見一先生についてはいずれこの Blog で
紹介させていただきます・・・お楽しみに!)

人生のうちで1/3の時間を占める
睡眠時に良質な睡眠相を得る事は
単に疲れを取るだけに留まらず,
各種ホルモンや病原菌に対する抗体を作る
上からも重要です

顎機能の異常や原因不明の口腔顔面痛を訴える
患者さんのうちには睡眠中に20分にもわたる
噛みしめ・食いしばり・歯軋りなどの
いわゆるブラキシズムをおこなう方たちがいます.


「良質な睡眠相を得るための4つのコツ」

ーーーオーソピデイック(整形)枕

当院のデンタル・ユニットがテンピュールである事は
サイト(http://www.dentfaco.com/dentfaco_G-Compact.html
で紹介しておりますが,
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October 25, 2006

「抜歯? 非抜歯?---」


矯正歯科 : 鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正の Blog
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院長 : 矯正歯科医 : 山本一宏の ブログ 25)

矯正歯科における抜歯治療と非抜歯治療・中立の立場から・・・

非抜歯による矯正治療例
当院における叢生の非抜歯治療例.
(初診時12歳女性.治療期間2年3ヶ月)

歯を抜いて治療すべきか? 抜かずに治療すべきか・・・
この問題は,現代の歯科矯正治療におけるだけでなく,
矯正歯科の歴史を通じて常に大きな論議の的でした.
それだけに数多くの研究が為され,
時代ごとの多くの説やコンセンサスが台頭し,
現代の診断基準に至っております.

ここで少しだけ,私たち人類の進化の話をさせていただきます.
進化はターミナル・リダクションといって,
中心から遠いところから起こってきます.

私たちが尻尾を失ったのも.
指の中で小指が一番小さいのも,
また親知らずが生まれつきない人がいるも,
この原理に従っているあらわれです.

歯にしても,同じ名前のたとえば切歯では,
中心に位置する中切歯より,
その隣の側切歯のほうが小さくなっています.
そんなふうにわたしたちの進化が進んできて,
遺伝子による状況に合わせた
さまざまな変化が生じてきたのですが,
歯並びで言うとちょっとした不都合が生じてきました.
それが何かというと,ガタガタの歯並びが増えてきて,
このままではものを噛むことができなくなって,
人類が滅びてしまうのではないかという危惧が生じてきたことです.

遺伝子は歯の大きさでそれを調節しようとしました.
つまり,最も得意分野である側切歯や,同じ名前の歯で
より中心からはずれた第二小臼歯の大きさを小さくすることによって,
叢生(ガタガタの歯並び)を解消しようと試みてきたのです.
ところがそれが間違った,進化の袋小路に人類を誘導していることに
最近このところやっと気付いたようなのです.
つまり,どんなに第二小臼歯を小さくしたところで,
八重歯や出っ歯はなくならず,奥歯が倒れてきて
噛み合わせはもっと悪くなってしまうことに遺伝子は気付きました.
これまでの得意分野での調節に失敗した遺伝子は,パニックを起こして,
その結果多数歯欠損(当院では,一卵性双生児の方で,
姉妹そろって10本づつ本来必要な歯が先天的に欠如した方がいます)
などがおきやすい現象が生じているようです.
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