November 11, 2006

「マイオファンクショナル・テラピー」


矯正歯科 : 鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正の Blog
カマクラデントフェイシャルオ−ソピディクス山本歯科・矯正
院長 : 矯正歯科認定専門医 : 山本一宏の ブログ 42)

ブンガ・ジュプンの花びら

昨日の Blog で予告した通り
「マイオファンクショナル・テラピー」について
述べてゆこうと思います

「マイオファンクショナル・テラピー」とは
正しい飲み方(正常な嚥下)のための指導をさします
日本においてはおもに歯科大学や矯正歯科専門院
などにおいて歯科衛生士が担当することが多いのですが

アメリカでは Oral Myo-functional Therapist とよばれる
専門の職業があって,サイコテラピストのように
一回のセッションごとに$150くらいの
治療費をチャ−ジして指導をおこなっています

矯正歯科治療を成功させてゆくために
大きな役割を演じる
「マイオファンクショナル・テラピー」
の具体的な方法につきましては
次項にゆずるとして
そのまえにわたしたちの
顔のホネの成長発育がどのようにおこなわれてゆくかを
振り返ってみようと思います

全身の骨格にはおおきくわけて
二種類の骨が存在します



ひとつは四肢などにおける
長管骨・・・
こちらは実験動物等で
切断して腹腔内や脳内に移植しても
機能力が加わらなくなる分いくぶん小ぶりにはなりますが
各種ホルモンやサイトカインに応答して
自立成長能を示します

一方で顔面頭蓋を形成する
ホネ=膜性骨は長管骨と同じ条件で
腹腔内や脳内に移植しても
なんら自立成長能を示しません

その理由は
頭蓋顔面には
生命維持に不可欠な
より分化した組織が多数存在するからなのです

脳・眼球・舌などホネより
より分化した組織が数多く存在する
頭蓋顔面では神経や
一定の容積を必要とする各種の機能空間が
負荷を受けずに済むように
ホネの配列が強いられます

同じ形式の車を大量生産してゆく=
これは増殖=multiplication です.

分化=differentiation とは,たとえて言うなら
その車をユーザのそれぞれのスタイルに合わせて
色を塗り替えたり,
スポーツ仕様にしたり
4輪駆動にしたり=
これが分化=differentiation です

ホネが折れても容易に再生するのに対して
眼球はひとたび失うと再生しません
これはホネに比べて眼球がより分化しているからです

なぜ顔面骨格を構成する
膜性骨が自立成長能を示さないかというと・・・
こんな比喩が当てはまるかもしれません

土砂や瓦礫がトラックでぞんざいに運搬されてゆくのに
大口径天体望遠鏡のレンズなどの精密機械は
深夜警告灯を回転させながらゆっくりと進む
特別運搬車によって移動されます

逆にそれでは最初からたとえばサイズが
遺伝的に決められていたとしましょう
わたしたちの遺伝子は両親から
半分づつの遺伝情報を受け継ぎます

たとえばあたまのおおきなお父さんの
あたまのホネに小さなお母さんの脳が入ったとします
これではケーキの箱を振り回しながら帰った時と同様
脳はぐちゃぐちゃになってしまいます
逆だとすれば大変な頭痛に悩まされることでしょう

目の大きなママの眼窩におとうさんの小さな目が入ったとします
下を向いたら眼球は落っこちてしまうでしょう

こんなことにならないように
膜性骨の成長発育には
なんら遺伝的なプログラムはなく
隣接するより分化度の強い臓器の
影響を避けるように
二次的に適応するようなかたちで
=secondly and adaptive in nature
成長してゆきます

病気にはそれぞれ異なった原因があります
不正咬合の場合にもその背後に
アゴのモルフォジェネシス=
形態発生におよぼす原因となる
いろいろな成長発育上のあるいは
高位中枢における神経的統合の
隣接する各種臓器からの
エピジェネティック=後成的な
各種生理的・病理的影響を受けます

形だけ治したところで
そのかたちを造った背後に潜む
こういったさまざまな原因について
なんの処置もおこなわないで
矯正歯科の歯を動かす治療を
終了しても
その影響が続く限りは
また後戻りを起こしてしまいます

Posted by dendroboim at 13:45:38 | from category: 歯の意識革命 | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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