November 07, 2006

「上顎前突と incompetent lip」


矯正歯科 : 鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正の Blog
カマクラデントフェイシャルオ−ソピディクス山本歯科・矯正
院長 : 矯正歯科医 : 山本一宏の ブログ 38)

上顎前突成人症例写真は初診時27歳の女性.
矯正動的治療期間 : 2年1ヶ月.
初診時1cmあったオ−バ−ジェットは, 2mmへと減少し,
理想的な歯並び噛み合わせとなった.
使用した装置 : エッジワイズ装置・ヘッドギア.
上下左右の第一小臼歯は抜歯されたが, 空隙が残る
ことなくぴったりと閉鎖された.
(第2回日本矯正医協会 : JIO, 2003,11. 26にて発表 )

日本矯正歯科学会では
overjet=水平被蓋=上下前歯間の水平距離が
7mm 以上を上顎前突と定義しているようです.

ところで,上アゴの骨が
極端に前方位をとることはほとんどなく
下アゴの
前下方への成長発育が充分でない
下顎後退症のほうが一般的です

適切な学術用語としての訳語がいまだないため
言語のまま記載しましたがincompetent lip
=インコンペタント・リップとは,
上下の前歯が合わさらないためにおこる
しまりのない口元をさします

インコンペタント・リップ
写真の一番左にみられるように
おおきすぎる歯列をカヴァーするには
役不足の短い上下口唇は
リラックス時には
ぽかんと開いてしまいます

無理に閉じようとすれば
真ん中の写真のように
オトガイ=下唇の下部に
桃の種のような不自然な緊張が生じます

一番右の写真でみられるように
上下左右第一小臼歯4本抜歯後に
矯正歯科治療を終了した後には
自然で美しい口唇閉鎖が得られました

でももし・・・これを非抜歯で治したとしたら
口元はとんがって
石器時代前に逆戻り
治療終了後はすぐにもどってしまうか
止めておく装置=リテイナの永久的な使用を
一生涯義務づけられることでしょう

セファロによる
きちんとした診断ののち
科学的根拠に則った=evidence based
学会でもコンセンサスの得られた
方法で治療を受けたいものです


20:41:03 | dendroboim | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks